日米防衛協力のための指針(ガイドライン)-安保法制法意見国家賠償請求事件 原告ら準備書面(19)-より

昨日、安保法制違憲訴訟あいちの第9回口頭弁論が行われました。
残念ながら、傍聴できませんでしたが、事務局の方の説明、閉廷後の報告集会は参加することができました。

今回は、中谷雄二弁護士による「原告ら準備書面(19)」が提出されましたが、
その内容は非常に濃く、知らない部分が多かったので、レジュメから一部抜粋します。
(レジュメそのものが要約版ですが、そのさらに抜粋です)



第1 はじめに
 この準備書面は、日本国憲法の原点が安保条約によって変えられ、
その安保条約の枠すら、日米ガイドラインによって米軍と自衛隊の役割が大きく変容され、
それが日本国憲法と相容れないこと、それを根拠づける法制度としての、
安保法制法が外国国会中心主義や内閣の憲法解釈権の内在的制約も超え、違憲であることを述べます。

第3 安保を超える安保法制の変容ー冷戦崩壊後の憲法9条違反の解釈改憲、違憲立法の積み重ね
1 日米防衛協力のための指針(ガイドライン)
(1)「日米防衛協力のための指針」(通称:ガイドライン)は、
  冷戦期の1978年の「旧ガイドライン」
  冷戦後の1997年の「新ガイドライン」
  9.11後である2015年の「新・新ガイドライン」の3回出されています。
(3)ガイドラインは、日米政府間の合意であり、旧ガイドラインには、冒頭、
 「この指針は、日米安保条約その関連取極に基づいて日米両国が有している権利義務に何ら影響を与えるものと解されてはならない」
 と記されているように、冷戦期の日米安保条約に基づく「わが国防衛」に対応するものでした。その内容も
  Ⅰ 侵略を未然に防止するための態勢
  Ⅱ 日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等
  Ⅲ 日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合の協力
 からなっていました。
(4)ガイドラインの本質
  ガイドラインは、この安保条約の共同対処行動の範囲を時期的にも地域的にも一気に広げました。
「侵略の未然防止」段階から「協力態勢」を作り上げ、
日本に対する武力攻撃の「おそれのある場合」からすでに「共同対処行動」を想定し、
「日本国」と「極東」というこれまでの地域区分の間に、
「日本以外の極東の事態」で「日本の安全に重大な影響を与える場合と極東有事とが一体化して対処することが想定されていました。
安保条約の第5条の枠組みをなし崩しにするとともに、日米両軍の「対処行動等」は、「事実上無制限のもの」となるレールが敷かれました。

2 日米安保の変容と自衛隊海外派兵の進展
ク 2015年新・新ガイドライン
(ア)「安保関連法案」(戦争法案)は、改定された2015年「ガイドライン」を実施するための法整備という性格をもっており、
違憲論との対抗で積み重ねられてきた自衛隊を合憲だとする「政府見解(憲法解釈)」の全体系を否定するという意味で
違憲性を露わにしているだけでなく同じく違憲である日米安保条約すらも超えているという意味でも違憲性が極まっています。
(イ)2015年ガイドラインにおいて特徴的なのは、自衛隊と米軍の役割の変化です。
a 日本が武力攻撃された場合の米軍の役割が、1978年ガイドラインでは、
米陸上部隊は、必要に応じ来援し、反撃のための作戦を中心に陸上部隊と共同して作戦を実施する。
とあったのが、1997年ガイドラインでは、
自衛隊と共同作戦を取ることから、自衛隊の能力を補完する作戦、自衛隊の作戦を支援する役割へと変化し、
2015年ガイドラインでは、
米軍の役割は、自衛隊の作戦支援及び補完するための作戦の実施になっています。
b この米軍の役割変化は、海上作戦及び航空作戦において極めて大きな変遷を示しています。
2015年ガイドラインになると、米軍は自衛隊の作戦の支援及び補完作戦の実施のみに変化し、「機動打撃力」の使用を伴う作戦は姿を消しています。
d 以上、1978年ガイドラインから1997年ガイドラインまでは存在した「起動打撃力」「打撃力の行使」という米軍の役割記載は、
2015年ガイドラインでは記載自体がなくなり、存在するのは、
Ⅴ.領域横断的な作戦の項で、
「米軍は、自衛隊を支援し及び補完するため、打撃力の使用を伴う作戦を実施することができる。」とある部分のみなのです。
2015年ガイドラインでは、米軍が打撃力の行使、つまり、敵基地を攻撃するのは、
陸上、海上、航空作戦ではなく、領域横断的作戦において、自ら敵基地を攻撃しようと考えた場合に、
「打撃力の使用を伴う作戦を実施することができる」だけなのです。
結局、日本防衛は、自衛隊が主体的に防衛せよ、米軍は自衛隊の支援・補完する、
敵基地攻撃を米軍がやるのは、自ら必要と考えたときに攻撃するというのです。

3 違憲の実態の深化・進行
(1)防衛計画大綱
ア 2018年12月18日に閣議決定された18大綱は「多次元統合防衛力」をスローガンとしています。
向こう10年間を見通して策定したとされていたのに、
初めて同じ首相の下で大綱が2回作られました。
こんなことがおきたのは、安保法制法が施行され、13大綱では抱えきれないほど軍事への傾斜が強まったためです。
従来、政府は「いわゆる攻撃的兵器を保有することは、いかなる場合にも許されない」と答弁してきました。
それにも関わらず、18大綱では、憲法に基づく専守防衛から逸脱しかねない空母の保有が打ち出されました。
18大綱には「スタンド・オフ防衛能力」が登場しています。
「スタンド・オフ防衛」とは相手の射程から外れた遠方から攻撃することで、
長射程ミサイルを保有することになります。
イ 敵基地攻撃能力とは、弾道ミサイルが落下する前に発射基地を攻撃する能力をいいます。
18大綱が巡航ミサイルの保有を決め、航続距離を延長できる戦闘機と長射程の巡航ミサイルを保有した場合、
その組み合わせは、政府が保有を禁じてきた「長距離戦略爆撃機」に近い効果を発揮します。
結局、18大綱においては、過去、政府が保有できないとしてきた
「大陸間弾道ミサイル、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母」のいずれも保有することになったのです。

第4 ガイドライン・プロセスの憲法上の問題点
1 以上のように日米政府間の合意によって、国会の審議も批准も必要がないものとして
事実上日米安保条約を変更するような合意を進めることに憲法上の問題はないのでしょうか。
国会の条約承認権は、内閣の外交権に対する外からの例外的制約とみられています。
そこから、国会の権限を限定的にみる見方が、生まれ、それが外交にかかわる国会の一般的権限である
立法権、財政決定権、責任追及兼、国勢調査権等を限定的に解し、
国会の外交に対する権限を制約する機能をもたらしています。
しかし、このような考え方は、天皇の外交大権(明治憲法13条)を前提にしています。
明治憲法時代の憲法解釈がそのまま移行したという考えは、日本国憲法の立場からは許されません。
6 条約の内容を実質上変更しましてや憲法に違反する政策を先導するようなガイドライン・プロセスは、憲法違反です。
それを国会の承認なく合意することは実質上の条約を条約締結権者である国会の承認なく締結することに等しく、
この点でも憲法違反です。

第5 集団的自衛権行使への絹布解釈の違憲性
1 集団的自衛権閣議決定容認したことの意味
(2)憲法解釈の変更は、論理的整合性が要求されます。
 憲法は目的規定だけでなく、手段に関する規定もおいています。
まさに、憲法13条の目的を達するために、日本国憲法が選択しているのは、憲法9条であり、
非軍備の戦争放棄を手段としているのです。
そもそも集団的自衛権容認の憲法解釈の変更が認められる論理的根拠はありません。
2 集団的自衛権容認の閣議決定は、憲法違反である。
(1)憲法解釈権力とは、ある国家機関が行う憲法解釈に他の国家機関を、従わせる権威ないし権力を有していることを言います。
この意味での合違憲性決定権は、日本国憲法上最高裁判所のみがこれをもちます
この意味での合憲性決定権が内閣に存在しないことは明らかです。

第6 最後に
 国家権力の正当性の根拠は、国民の同意=社会契約によって正当性が付与されたものでなければなりません。
憲法違反の立法や行政、司法というのは、そもそも概念矛盾であり、存在するはずのないものです。
 この国で暮らすすべての人々の命に係わる防衛・軍事問題は、あいまいになし崩しにされることを許してはなりません。
憲法尊重用語義務を負い、違憲の行為に対してこれを糺すべき任務にある裁判官として、憲法と良心にしたがい
違憲の行為に対してこれを糺すべき任務のある裁判官として、憲法と良心にしたがい、自らの権限行使を行われるよう期待します。



<感想>
報告集会で中谷弁護士より
「新・新ガイドラインは、日本が攻撃された時アメリカが日本を守る義務はなく」、
「日本はアメリカの手足となって使われる」ためのものだという説明に驚きました。
レジュメだけ見ていても難しくてよく分からなかったのですが、もう一度読み返してみてやっと理解できました。

日本の防衛について大きく
①現在の憲法での専守防衛を貫く
②改憲して日本が外国に匹敵する武力を持つ
があると思います。
そのどちらも理があるので、徹底的に討論すべきだと考えます。

しかしながら、安保法制、ことに新・新ガイドラインは
アメリカの日本防衛義務を排除しているにもかかわらず、
アメリカへの義務は負わせています。
これは①と②のどちらの考え方にしろ、滅茶苦茶な押し付け以外の何物でもありません。

アメリカが日本の防衛を行わないのであれば、
日本国内の米軍基地はすべて排除し、日本国内に米軍が許可なく滞在することを許してはいけないと考えます。
パスポートを持たない米兵の存在を許すのは、独立国として存在する意欲がないとしか思えません。

中国への攻撃能力を持つ軍事基地は、中国からの攻撃を受ける絶好の口実となります。
日本は中国のアメリカ攻撃の盾とされているだけなのでしょう。

私は日本が武力を持つのを反対する考え方を持っていますが、
仮に武力を持つのであれば、アメリカと同等かそれ以上の武力を持つのでなければ意味がないと考えます。
航空機開発でも日本は制限を受けていたため、民間機ですら遅れをとっています。

私たちは米国に代わって中国からの攻撃を受けるために、税金を払っているわけではありません。
①②いずれの考え方にせよ、日本のためにならないことにお金をつぎ込まされ、危険が増えるのは嫌です。

従属的な安保法制法に改めて怒りを覚えます。
条約が必要なら対等なものでなければなりません。
日本はアメリカの奴隷ではあってはなりません。


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